消火器の機能点検|ロットの作成方法や試料の抜き取り方もわかりやすく解説

消防用設備

本記事では消火器の機能点検について解説していきます。

消火器は半年に1回の外観点検に加え、一定期間ごとに内部および機能の点検を行い、場合によっては消火薬剤の充てんを行います。

消火器の外観点検については以下の記事をご覧ください。

本記事で解説する機能点検ですが、点検する試料の抜き取り方が少々複雑で、消防設備士の方または消防設備士を志す方なら誰もが一度はつまづいたことがあるのではないでしょうか。

本記事では機能点検を行う際の確認試料(ロット)の作成の仕方を初めての人にもわかりやすく解説しています。消火器の点検に携わる方や消防設備士乙種6類の勉強をする方の手助けになれば幸いです。

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機能点検を行う必要がある消火器

消火器

まずは消火器の内部及び機能の点検を行わなければならない消火器について説明します。

機能点検を行う必要がある消火器は大きく分けて2パターンあります。

外観点検で不備が見つかったもの

消火器は設置後、6カ月ごとに外観点検を実施します。外観点検では本体や部品に変形や腐食がないかなどを確認します。

外観点検で消火器の機能に影響を与えかねない不備がある場合、その消火器は機能点検を行わなければなりません。

以下の不備が見つかった場合、機能点検が必要だと判断されます。

  • 使用済み表示装置が脱落している
  • 粉末消火器のキャップに変形、ゆるみなどがある
  • ホースやノズルに詰まり、漏れがある
  • 指示圧力計が緑色の範囲外を示している
  • 安全弁の吹き出し口の封が損傷又は脱落している
  • 安全弁のねじが緩んでいる(二酸化炭素消火器、ハロン1301消火器の場合)

一定の期間が経過したもの

外観点検で不備が見つかったものの他に、製造年又は設置後から一定期間が経過したものに関しても機能点検を行う必要があります。

機能点検の時期
ガス加圧消火器(化学泡消火器を除く)製造年から3年
蓄圧式消火器製造年から5年
化学泡消火器設置後から1年
機能点検を行う時期

ただし、二酸化炭素消火器とハロゲン化物消火器については液化高圧ガスが充てんされているので、機能点検は専門業者に依頼します。

機能点検を行う消火器の数

機能点検を行う点検試料(サンプル)の数については、抜き取り方式で一部消火器のみでよい場合と、全数行わなければならない場合があります。

また点検試料は、放射能力の点検とそれ以外の点検で数が異なります。

放射能力放射能力以外の点検
粉末消火器以外の加圧式消火器全数の10%以上全数
粉末消火器抜き取り数の50%以上抜き取り数
蓄圧式消火器抜き取り数の50%以上抜き取り数
化学泡消火器全数の10%以上全数
機能点検を行う消火器の本数

表にある「抜き取り数」とは具体的にどうやって決定するでしょう。次の章では「抜き取り数」の拭き取り方を解説していきます。

点検試料の抜き取り方法

粉末消火器と蓄圧式消火器の点検試料の抜き取り方については、以下の方法で行います。

ステップ1 確認ロットを作成する

まずは点検する消火器の確認ロット(確認試料)を作成します。

  1. 消火器の種類に分ける(メーカー別に分ける必要はありません)
  2. 小型消火器か大型消火器かで分ける
  3. 加圧方式がガス加圧式蓄圧式かで分ける
  4. ガス加圧式消火器の場合は製造年から3年を超え8年以下のもの8年を超えるもの、蓄圧式消火器の場合は製造年から5年を超え10年以下のもの10年を超えるものに分ける

この順で分けてグループ化した消火器をそれぞれ1ロットとします。

例として、粉末消火器100本の確認ロットの作り方は以下のようになります。

消火器の確認ロットの作り方

ステップ2 各ロットから抜き取る

確認ロットが作成できたら、次は機能点検を行う試料を抜き取ります。

抜き取り方法は2パターン。

  1. 製造年から3年を超え8年以下のガス加圧式粉末消火器及び製造年から5年を超え10年以下の蓄圧式消火器⇨いずれも5年でロットの全数が点検できるように、概ね均等に製造年が古いものから抜き取る
  2. 製造年から8年を超えるガス加圧式粉末消火器及び製造年から10年を超える蓄圧式消火器⇨いずれも2.5年でロットの全数が点検できるように、概ね均等に製造年が古いものから抜き取る

上の図の、ガス加圧式の小型粉末消火器で製造年から3年を超え8年以下のロット20本について考えてみましょう。

この消火器20本は5年で全て機能点検を行うようにするため、半年に1回の点検の際に毎回2本ずつ抜き取れば全数確認できます。放射点検については抜き取り数の50%でいいので、2本のうち1本選んで放射点検を行えばいいというわけですね。

点検は半年に1回行うので、パターン1の場合は毎回ロット全数の10%を抜き取れば5年で100%にパターン2の場合は毎回ロット全数の20%を抜き取れば2.5年で100%になります。

下の図は点検試料の抜き取り方をわかりやすくまとめたものです。『いくつ抜き取ればいいんだっけ…』と迷った時は、この早見表を参考にしてみてください。

機能点検の点検要領

それでは、実際に機能点検ではどのような項目を確認するのかを紹介します。点検項目は消火器の種類や加圧方式によって異なります。

化学泡消火器を除くガス加圧式の消火器

  1. 消火薬剤量を質量(重さ)で表示してあるものは、消火器の総質量を秤で量って消火薬剤量を確認する。
  2. 排圧栓のあるものは排圧栓を開いて、排圧栓のないものはキャップをゆっくりあけて減圧孔から容器内の圧力を完全に排出する。
  3. キャップを外し、加圧用ガス容器の支持具や加圧用ガス容器を取り出す。
  4. 消火薬剤量が容量で表示してあるものは、液面表示と同一レベルであるか確認する。
  5. 消火薬剤を他の容器に移す。水系消火薬剤はバケツなどへ、粉末はビニール袋などへ移す。
  6. 容器内部や部品の清掃をする。
    (1)水系の消火器は、本体容器の内外・キャップ・ホース・ノズル・サイホン管等を水洗いする。
    (2)粉末消火器は水分が厳禁なので、乾燥した圧縮空気などで本体容器内・キャップ・ホース・ノズル・サイホン管等をエアーブローして清掃する。
  7. 本体容器内に塗膜はく離がないかなど、各部品についての確認を行う。

蓄圧式の消火器

  1. 消火薬剤量を質量(重さ)で表示してあるものは、消火器の総質量を秤で量って消火薬剤量を確認する。
  2. 指示圧力計が緑色の範囲を指しているかを確認する。
  3. 排圧栓のあるものは排圧栓を開いて、排圧栓のないものは消火器を逆さまにしてレバーを除々に握り、容器内の圧力を完全に排出する。又は減圧孔から内圧を排出する。
  4. キャップ又はバルブ本体を容器からを取り外す。
  5. 消火薬剤を他の容器(ビニール袋など)に移す。
  6. 容器内部や部品の清掃をする。この時注意したいのが粉末消火器。粉末消火器は水分が厳禁なので、乾燥した圧縮空気などで本体容器内・キャップ・ホース・ノズル・サイホン管等をエアーブローして清掃する。
  7. 各部品についての確認を行う。(本体容器内に塗膜はく離がないかなど)

化学泡消火器

  1. キャップを外し、内筒を取り出す。
  2. 消火薬剤量が液面表示と同一レベルであるかどうかを確認する。
  3. 消火薬剤をバケツ等へ移す。
  4. 消火器の本体容器の内外・内筒・キャップ・ホース・ノズル・ろ過網等を水洗いする。
  5. 各部品についての確認を行う。

耐圧性能点検

ちなみに機能点検とは別に、製造年から10年を経過した消火器(二酸化炭素消火器とハロゲン化物消火器は除く)については、耐圧性能点検を実施する必要があります。

耐圧性能試験とは消火器容器内を水で満たした状態で水圧をかけ、本体容器に変形や漏れなどがないかを確認します。

なお、水圧試験はこの後3年ごとに実施する必要があります。

 まとめ

本記事では消火器の機能点検やロットの作成方法について解説しました。

消火器の点検についてまとめると、

年2回の点検の際に機能点検が必要な消化器がないか確認する⇨機能点検が必要な消火器から確認ロットを作成する⇨ロットから機能点検を行う消火器を抜き取る

この要領で期限内に全数の機能点検を済ませましょう。

現在流通している消火器の90%以上が粉末消火器であり、本記事で解説したロットの作り方と試料の抜き取り方はきっと現場に生かされると思います

ロットの作成方法は一度では理解できないかもしれませんが、何度も確認したり、現場で経験を積めばきっと自然に身に付くはずです。

消火器の設置基準を解説している記事もあります。ぜひご覧ください。

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