自動火災報知設備の受信機・感知器の設置場所や選定方法を解説

消防用設備

皆さんこんにちは。

今回は自火報の受信機の選定及び設置場所や位置、感知器の選定や適応性について解説していきます。

自動火災報知設備の設置が必要な対象物や、警戒区域の設定については以前の記事を参照してください。

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受信機について

自火報の要である受信機を選定したり、設置場所を決定するにあたり、いくつか要件があります。

受信機の種類

受信機にはP型とR型の他にガス漏れ火災警報設備(G型受信機)の機能を付加したGP型やGR型もあるので設置する防火対象物の規模・用途で決定することになります。

とあるメーカーの推奨では延べ面積10000㎡を境に、以下ならP型、以上ならR型と分けると良いとあります。最近のR型は中規模防火対象物向け(延べ面積5000㎡くらい)のものがあるので、それを活用することもできます。

また、一部の小規模防火対象物にはP型2級1回線などが使用できますが、どちらかといえば共同住宅の個別住戸向けであり、延べ面積350㎡以下など要件があるので、P型2級の3回線や5回線の受信機を使うが良いと思います。

受信機の種類は以下になります。

  1.  全ての防火対象物、警戒区域数に対応するもの
    • P型1級
    • GP型1級
    • R型
    • GR型
    • P型(GP型)アナログ式
  2. 警戒区域数が5以下のもの
    • P型2級
    • GP型2級
  3. 防火対象物の延べ面積が350㎡以下のもの※1
    • P型2級1回線
    • GP型2級1回線
  4. 防火対象物の延べ面積が150㎡以下のもの※1
    • P型2級1回線
    • GP型2級1回線
    • P型3級
    • GP型3級

※1  以下の階に設ける場合は,当該階の床面積350㎡以下または150㎡以下

  • 政令別表第一の2項イ~ハ・3項の部分
  • 地階・無窓階・3階以上の部分
  • 地階・2階以上の階が駐車の用に供する部分

受信機の設置場所

受信機を選定したら次は設置場所を決定します。受信機の設置場所は以下の要件があります。

  • 常時誰かがいる場所(防災センター、守衛室など)
  • 共同住宅の管理人室など(ただし、無人となる場合は非常時に入室できる構造とする。)
  • 上記以外の場所で管理上やむを得ない場合は、玄関ホール、廊下等の共用部で、避難上支障とならない位置に設置する。また、開放廊下等の共用部の場合は、防湿、防塵、防眩及び悪戯防止のための収納箱等内に設置することが必要です。
  • 温度又は湿度が高く、衝撃、震動等が激しいなど、受信機の機能に影響を与える恐れのある場所には設置することができません。
  • ★ 1つの防火対象物には、原則として1台の受信機を設置し、監視するものであること。ただし、同一敷地内に2以上の建築物(管理権原が同一の場合に限る。)で次のいずれかにより集中管理ができる場合にはこの限りでない。
    なお、建築物の業態や利用形態等を考慮して、1台の受信機でも他の防火対象物の監視ができると判断される場合は、令第32条を適用して1台の受信機で監視することができる。
    1. 防災センター等(常時人のいる場所)に設置してある受信機に、他の建築物に設置してある受信機からの火災信号等(移報)を受信し、監視できる場合。
    2. 受信機設置場所を1箇所とし、各棟を監視する複数の受信機を集中させ監視させる場合。
    3. 規則24条第2号トに規定する受信機の設置場所相互間に設ける同時に通話することができる設備(以下「同時通話装置」という。)は、次に掲げるものをいう。 なお、前★による場合にも各建物と受信場所相互間に当該装置を設け、設備の集中管理を図ること。
      1. 発信機(P型1級,T型)
      2. 非常電話
      3. インターホン
      4. 構内電話で緊急割込の機能を有するもの。
    4. 放送設備の設置を必要とする防火対象物にあっては、増幅器等(操作部を含む。)と受信機を併設する。
    5. 受信機設置場所が不明確な場合は、その出入口などに標識(火災受信所など)を設けること。
    6. 一部の防火対象物では、地区音響再鳴動機能付きの受信機が必要(特定一階段防火対象物やカラオケボックス・ダンスホールなど)ですが、最近の受信機は再鳴動機能が標準で付いています。

受信機の設置位置

受信機を設置するのに高さや、離隔距離(受信機周囲の物品との距離)に決まりがあります。基本的には点検・操作に支障のない場所に設置します。

  • 床面から受信機の音響停止スイッチ・地区音響停止スイッチまでの距離(高さ)(液晶パネルの場合はパネルの上端)が0.8~1.5m以内であること。
  • 離隔距離
    • 自立型は、背面0.6m以上(背面に扉がある場合、なければ壁に直でOK)、左右0.5m以上、前面2m以上
    • 壁掛型は、左右0.3m以上、前面1m以上
  • 直射日光、外光、照明などにより、火災灯、表示灯などの点灯が不鮮明とならない位置に設置する。
  • 地震動などの震動による障害がないよう堅ろうに、かつ、傾きのないように設置する。

感知器

感知器の設置場所

感知器は、天井の室内に面する部分、上階の床・屋根の下面・壁に有効に火災の発生を感知できる様に、又、点検などの維持管理が容易にできる場所に設置をします。

感知器の選定

次は各警戒区域に使用する感知器を決めていきますがこれも要件があって、煙やホコリが停滞しやすい場所には煙感知器はダメとか、水蒸気がたまりやすい場所には防水型感知器を使いなさいとか、設置高さによる選別などの決まりがあります。

感知器の設置高さによる選定

感知器を設置する場所の高さにより使用できる感知器に種別があり、下表のようになります。

感知器の適応性

高さの他に、感知器を設置する場所の環境でも適応する感知器が変わります。

以下の表は煙感知器・炎感知器を設ける場所を示します。

上記表の9のように煙感知器や炎感知器などを設置できない場所もあります。そのような場所には下表を参照して使用場所に適応できる感知器を設置します。

・定温式感知器は正常時における最高周囲温度が定められています。補償式スポット型の場合は公称定温点より、その他の定温式感知器の場合は公称作動温度(2つ以上の公称作動温度を持つ感知器は、最も低い公称作動温度)より20℃以上低い場所に設置する。

・また定温式感知器はなるべく公称作動温度75℃以下のものを使用する。

感知器の設置を除外できる場所・部分

以下に記載する場所・部分は、感知器の設置を除外できます。

  • 主要構造部を耐火構造とした建築物の天井裏の部分。
  • 炎感知器を除く感知器の取付面(感知器を取り付ける天井の室内に面する部分・上階の床・屋根の下面をいう)の高さが20m以上ある場所。
  • 耐火構造又は準耐火構造の建築物の天井裏・小屋裏などで、不燃材料の壁・天井・床区画された部分。
  • 天井裏で、上階の床と天井の間の距離が0.5m未満の場所。
  • 上屋・プラットフォーム・その他外気が流通する場所で、炎感知器を除く感知器によっては当該場所における火災の発生を有効に感知することができない場所。
  • 便所・浴室及びこれらに類する場所。
  • 押入れなどの部分で、その場所で出火した場合でも延焼のおそれがない構造である場合、又はその上部の天井裏に感知器が設置されている場合などでは、当該部分に設置する感知器の一部又は全部を省略することができる。(下図参照)
  • 不燃材料で造られている防火対象物又はその部分で、出火源となる設備や物品が無く、出火のおそれが非常に少なく、延焼拡大のおそれがないと認められる部分及び機能保持が十分期待できない以下の部分には感知器の設置を省略することができる。
    • 浄水場、汚水処理場などで、内部の設備が水管・貯水池・貯水草のみの部分。
    • 屋内プール・スケートリンクの滑走部分。
    • 沙紙工場・サイダー・ジュース工場の洗ビン・充填場などの部分。
    • 不燃性の金属、石材などの加工工場で可燃性のものを収納・取り扱わない部分。
    • 金庫室でその開口部に特定防火設備又はこれと同等以上のものを設けているもの。
    • 恒温室・冷蔵庫などで火災を早期に感知することが出来る自動温度調節装置を設けているもの。
    • 工場・作業場で常時作業(昼夜とも)し、かつ、火災発生を容易に覚知し報知できる部分。
    • 金属などの溶融・鋳造・鍛造設備のある場所で、感知器によって火災を有効に感知することができない部分。
    • 感知器の機能保持が非常に困難な場所。
  • 電力の開閉場(電力の開閉に油入開閉器を設置する開閉所を除く)で、主要構造部を耐火構造とし、かつ、屋内に面する天井(天井のない場合は屋根)、壁及び床が不燃材料又は準不燃材料で造られているもの。
  • 小規模特定用途複合防火対象物( 特定用途を有する複合用途防火対象物(16)項イのうち、特定用途に使用される部分の床面積の合計が全体の10%以下で、かつ、300㎡未満のものを「小規模特定用途複合防火対象物」という。 )( 指定可燃物を危険物に規制に関する政令別表第四で定める数量の500倍以上貯蔵し又は取扱うものを除く)の部分(令第21条第1項第5号及び第11号〜第15号までに掲げる防火対象物の部分を除く)のうち、下記に掲げる防火対象物の用途に使用される部分以外の部分で、令別表第一の各項の防火対象物の用途以外の用途に使用される部分及び、令別表第一の各項のいずれかの用途に使用される部分で当該部分の床面積(その用途に使用される部分の床面積が当該小規模特定用途複合防火対象物において最も大きいものにあっては、当該部分及び次に掲げる防火対象物の用途に使用される部分の床面積の合計)が500㎡未満(令別表第一の(11)項〜(15)項に掲げる防火対象物の部分にあっては1000㎡未満)である場合には感知器の設置を要しない。
    • 令別表第一の(2)項ニ・(5)項イ・(6)項イ(1)〜(3)まで、(6)項ロの防火対象物
    • 令別表第一の(6)項ハの防火対象物(利用者を入居させ、または宿泊させるものに限る。)

※令第21条第1項第5号・第11号〜第15号

  • 第5号…令別表第一の(16-3)の防火対象物で、延べ面積が500㎡以上、かつ、特定用途に使用される部分((16)項イを除く)の床面積の合計が300㎡以上のもの。
  • 第11号…地階・無窓階・3階以上の階で、床面積の合計が300㎡以上のもの。
  • 第12号…防火対象物の道路の用に使用される部分の床面積が屋上部分なら600㎡以上、それ以外の部分なら400㎡以上のもの。
  • 第13号…地階・2階以上の階のうち、駐車の用に使用される部分がある階(全ての車両が同時に屋外へ出ることが出来る構造の階を除く)で、その部分の床面積が200㎡以上のもの。
  • 第14号…防火対象物の11階以上の階
  • 第15号…防火対象物の通信機器室で床面積が500㎡以上のもの。

まとめ

最後までご覧いただきありがとうございます。

今回は受信機の選定・設置場所の説明と感知器の設置場所(高さ、環境)による選定と、感知器の設置を免除出来る部分について解説させていただきました。

意外に感知器の設置する部分の高さによりどんな感知器が使えるか迷うときがあるので簡単に言うと、8m未満は熱感知器と煙感知器いずれも使えて、8m以上になると煙感知器か差動式分布型しか使えなくなると覚えておきましょう。炎感知器は高さ制限はありませんが、設置環境により使えない場合が多いので気をつけましょう。

冬場は結露、夏場は高温となる場所などは感知器の選定に苦慮すると思いますが、結露を無くすとか高温にならない工夫をすれば感知器選定に幅ができると思います。

この他にも自動火災報知設備に関する記事があるので、ぜひご覧ください。

▼自動火災報知設備の設置基準や警戒区域の設定方法についてはこちら▼

▼感知機の個数算定、熱感知機の設置基準についてはこちら▼

▼煙感知器・炎感知機の設置基準についてはこちら▼

▼自動火災報知設備における付属機器の設置基準についてはこちら▼

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