「消防設備士」は消防用設備の点検や工事が行える国家資格です。その中でも「乙種6類」は消火器の点検が行える資格に分類されます。
消防設備士乙種の中で毎年最も受験者数の多いのはこの乙種6類。本記事の筆者も消防設備士の中で乙種6類を一番初めに取得しました。
本記事では消防設備士監修のもと、試験概要や資格を取得するメリットなどを解説しています。
実際に乙種6類に1か月で合格した筆者が書いたこの記事を読んで不安要素をなくし、ぜひ一発合格を目指してください。そして将来のキャリアのために資格を役立ててください。
消防設備士乙種6類とは
よく「乙6」と呼ばれる「消防設備士乙種6類」。そもそも国家資格である消防設備士には特類・1類・2類・3類・4類・5類・6類・7類という種類があり、その種類によって取り扱う消防用設備等が決まっています。
また、消防設備士の中でも「甲種」と「乙種」があります。「甲種」消防設備士は消防用設備等の工事、点検、整備をおこなえます。一方で「乙種」消防設備士は消防用設備等の点検、整備はできますが、工事をおこなえません。ちなみに消火器は設置に工事が必要ないため、6類には乙種しか存在しません。
つまり、消防設備士乙種6類は消火器の点検・整備ができる資格です。
甲種の試験を受けるには所有している国家資格や学歴などの受験資格が必要ですが、乙種には受験資格は必要ありません。また、6類で取り扱う消火器は消防設備点検の中で最も基礎的な項目であり、実用性が高いため、消防設備士の資格の中で乙種6類を一番最初に取得する人が多くいます。
乙6を取得する3つのメリット
活躍できる場所が圧倒的に多い
消火器は消防用設備の中で最も多く設置されており、公共の場だけでなく一般家庭でも目にします。
平成12年度の調査では、国内に約4000万本もの粉末消火器が設置されており、圧倒的な設置数を誇ります。
消火器は年に2回点検する義務がありますから、実用性の高い消防設備士乙種6類を持っていれば全国あらゆる場所で活躍できるでしょう。
経験がなくても取得しやすい
消防設備士の試験というと、実際に消防用設備等の操作ができなければならないと思う人もいるでしょうしかし、消防設備士乙種6類の試験はすべて筆記問題で、消火器の操作などの特別な技術は一切必要ありません。経験などは関係なく、単純に勉強量で合否が決まります。
それに加えて受験資格はないので、老若男女、まったくの未経験の方でも合格するチャンスは十分にあります。
給料アップや転職・副業に有利
消防設備士は国家資格なので、業界によっては持っていれば資格手当がもらえるケースがあるでしょう。
また、消防設備点検の会社に転職したいというときに、消防設備士の免状があれば良いアピールになります。点検以外にも、消火設備を扱う会社に転職する際も有利になるかもしれません。
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未経験でもチャレンジできる試験内容と高い合格率
試験科目
消防設備士乙種6類の試験科目は「筆記」と「実技」があります。問題数は35問とそう多くなく、試験時間は1時間45分です。問題の構成は以下の表のとおりになっています。
試験科目 | 問題数 | |
筆記 | 消防関係法令 | 10 |
基礎的知識 | 5 | |
構造・機能・整備 | 15 | |
計 | 30 | |
実技 | 鑑別 | 5 |
「実技」と聞くと消火器の操作が必要なように聞こえますが、実際は「筆記」も「実技」も座学の試験です。筆記試験では四肢択一のマーク式の問題が出題され、実技試験では写真やイラストを見て答える記述問題が出題されます。
合格基準
この試験の合格基準は、筆記試験全体の正答率が60%以上で各科目の正答率がそれぞれ40%以上、かつ実技試験の正答率が60%以上となっています。
試験科目 | 各科目の正答率 | ||
筆記 | 消防関係法令 | 4問以上/10問 | 筆記全体で18問以上/30問 |
基礎的知識 | 2問以上/5問 | ||
構造・機能・整備 | 6問以上/15問 | ||
実技 | 鑑別等 | 設問に対して60%以上の成績 |
合格率
消防設備士乙種6類の合格率は令和4年度で38.4%、令和5年度で37.4%と、例年40%程度となっています。国家資格の中では消防設備士乙種6類は比較的取得しやすい資格といえます。
科目免除について
消防設備士、電気工事士、電気主任技術者、技術士等の資格を有する方は、申請により試験科目の一部が免除になります。
消防設備士の資格を有している場合
消防設備士甲種乙種いずれかを所有している場合、筆記試験のうち「消防関係法令」の共通部分が免除になります。ただし、消防設備士甲乙5類を所有している場合はさらに「基礎的知識」も免除となります。
技術系の資格を有している場合
そのほかにも、以下のような資格を所有している方は科目免除の対象となります。
- 電気工事士
- 電気主任技術者
- 技術士(機械部門)
資格以外にも免除可能な場合も
前述のような資格を所有していない方でも、以下のような専門的な経験がある方は科目免除の対象となります。
- 日本消防検定協会又は指定検定機関の職員で、型式認証の試験の実施業務に2年以上従事した方
- 5年以上消防団員として勤務し、かつ、消防学校の教育訓練のうち専科教育の機関科を修了した方
免除される科目
それぞれの資格でどの科目が免除されるか、また科目免除の申請に必要な書類は以下のようになっています。
資格等 | 免除科目 | 証明書類 |
消防設備士甲種5類、乙種5類 | 消防関係法令(共通部分)基礎的知識 | 免状のコピー |
消防設備士(5類以外) | 消防関係法令(共通部分) | 免状のコピー |
電気工事士電気主任技術者 | 基礎的知識、構造・機能・整備(電気に関する部分) | 免状のコピー |
技術士(機械部門) | 基礎的知識、構造・機能・整備 | 技術士第2次試験若しくは本試験の合格証明書又は技術士登録証のコピー |
日本消防検定協会又は指定検定機関の職員で、型式認証の試験の実施業務に2年以上従事した方 | 基礎的知識、構造・機能・整備 | 型式承認試験の実施業務の従事証明書 |
5年以上消防団員として勤務し、かつ、消防学校の教育訓練のうち専科教育の機関科を修了した方 | 基礎的知識、実技試験 | 「5年以上消防団員として勤務したことを証明する書類」及び「消防学校の教育訓練のうち専修教育の機関科を修了したことを証明する書類」 |
消防設備士が教える 乙6に必ず合格する方法
必要な勉強期間
消防設備士乙種6類に合格した方たちにTwitterで勉強期間のアンケートをとったところ、32人中約43%が「1~2週間」、約28%が「1か月程度」と答えました。
実際に筆者は平日2時間、休日に4時間勉強して1か月で合格しました。
生活スタイルによって1日の勉強時間は異なるとは思いますが、1か月間こつこつ勉強すれば合格にグンと近づけるでしょう。
これをすれば合格できる!おすすめの勉強法
消防設備士の試験は全国で毎年複数回おこなわれ、その中で出題される問題のパターンはある程度決まっているといわれます。試験問題は持ち帰りができないため完全な過去問題集なるものは存在しませんが、本試験での出題傾向を掲載した頻出問題集で勉強するのがよいでしょう。
また、問題集を選ぶ際は、解答の解説が充実しているものを選ぶべきです。解答の理屈を理解できれば、本試験で少し変わった問題が出ても対処できます。実技試験対策としては写真やイラストがたくさん記載されているものを選ぶのもよいでしょう。
時間がかけられる方におすすめの勉強方法
勉強に時間をかけられる方はぜひ問題集を3周してみてください。
3周とはいっても、すべて解く必要はありません。1周目では間違えた問題と理解できているか怪しい問題に印をつけます。2周目は1周目で間違えた問題を、3周目では2周目でも間違えた問題を解いてみてください。
そうすることで苦手な分野を徹底的に克服できるので、そのあとに模擬試験問題を解きましょう。きっとすらすら解けるようになっていると思います。
時間がない方におすすめの勉強方法
仕事が忙しく勉強に時間をかけられない人は、動画を利用した勉強方法をおすすめします。YouTubeには消防設備士の試験対策動画が数多く投稿されており、特に乙種6類の動画は豊富にあります。
通勤時間やスキマ時間を利用して動画で勉強すれば、目と耳で学べるため、きっと身につくはずです。座って勉強するのが苦手、という方にも動画での勉強をおすすめします。
弊社代表も消防設備士乙種6類の試験対策動画を投稿しています。ぜひ試験勉強にお役立てください!
本試験は努力した分、合格率が上がります。とにかく繰り返し問題を解き、どんな問題が出ても理屈を理解して解答できるように勉強することが合格への一番の近道です。
受験のてびき
資格取得に向けて勉強の方針はつきましたか?それでは受験までに必要な情報を確認しておきましょう。
受験申請方法
試験を受けるためには受験申請が必要です。受験申請には願書を提出する「書面申請」とインターネットから申し込む「電子申請」があります。
初めて受験される方にオススメの方法は電子申請です。スマートフォンやPCから簡単に申し込むことができます。また、証明書類を必要とする場合は電子申請はできませんが、乙6は受験資格が必要ないので、電子申請で問題ありません。
試験日程
試験は都道府県によって日程が異なります。受験地は現住所や勤務地にかかわらず、どの都道府県でも受けることができます。
試験日の約2か月前に申し込みをしなければならないので、忘れないように注意しましょう。
全国の試験日程はこちらから検索できます。
【全国】消防設備士 試験日程
乙6取得後、未経験者が現場経験を積むには?
消防設備士乙種6類を取得しても現場経験がないとなかなか資格を生かして働くことはできませんよね。「資格を生かして消防設備点検の仕事を体験したい」そんな方にぴったりの研修制度があります。
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まとめ
本記事では消防設備士乙種6類の取得メリットや試験概要について説明しました。
これを読んで消防設備士乙種6類への疑問は解決できたでしょうか?
消防設備士乙種6類を取得すればきっとみなさんのキャリアの選択肢が広がるはずです。
この記事が皆さんの資格取得に役立てれば幸いです。
無事消防設備士乙種6類の資格を取得できたら、次は資格を活かして働いてみませんか?
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