消防設備士の年収|独立、資格取得などのキャリアアップで年収UP!

仕事

現役消防設備士の方も、これから消防設備士になる予定の方も、気になるであろう消防設備士の年収。いったいどれくらい貰えるのでしょうか。ビルメイツでは全国120の消防設備点検を行う企業を独自調査。消防設備士の平均年収と年収中央値を算出しました。本記事ではその結果をお伝えします。

また、今の年収に満足していない消防設備士のキャリアップの一例もご紹介。キャリアアップすることで、年収を上げることも可能です。ぜひ最後まで読んでくださいね。

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会社員消防設備士の年収

年収

今回は、会社に属する消防設備士「会社員消防設備士」の年収を調査しました。フリーランス消防設備士を含めた金額ではないのでご了承ください。

会社員消防設備士は、毎月安定した給与を貰えることがポイント。保険や各種手当等、福利厚生を享受できるのも会社員の特権です。

今回は地域を以下4つに分類し、それぞれの年収をご紹介します。

  1. 全国:以下の地域の合計120企業から算出
  2. 首都圏:東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県
  3. 関西圏:大阪府、京都府、兵庫県
  4. 主要都市のある道県:北海道、宮城県、愛知県、広島県、福岡県

本記事で紹介する年収は、求人サイトに掲載されている、消防設備点検を主な業務とする企業が掲げる月収予定額から算出しています。雇用形態は正社員とし、賞与は一律で1年間で3カ月分として計算しました。

本記事では、平均年収と併せて年収中央値もご紹介しています。中央値とは、複数あるサンプルの中でちょうど真ん中にある数値のこと。平均値と違い、極端な数値を持つサンプルの影響を受けないため、実際の肌感や感覚と近い数値が分かります。

たとえば、以下5つの年収のサンプルがあると仮定しましょう。

  1. 年収100万円
  2. 年収120万円
  3. 年収800万円
  4. 年収130万円
  5. 年収140万円

上記サンプルの平均値は年収258万円なのに対し、中央値は年収130万円。抜きん出るCの数値に引っ張られてしまい、C以外の年収額よりも100万円ほど高い値が「平均」になっています。反対に中央値は130万円と、C以外の収入に近い額ですよね。このことから、年収を確認する際は、平均と一緒に中央値も確認することをおすすめします。

前置きはこれくらいにしておいて、実際に消防設備士の年収を詳しく見てみましょう。

①消防設備士の年収|全国

まずご紹介するのは、地域を問わない、消防設備士全体の平均年収と年収中央値です。以下の表をご確認ください。

消防設備士の平均年収消防設備士の年収中央値
395万9千円371万3千円

平均年収395万9千円年収中央値371万3千円という結果に。ちなみに令和元年度の日本の平均年収は436万円、中央値は370万円です。(参照:国税庁 民間給与実態統計調査)

平均値だけを見ると下回っているように感じてしまいますが、中央値を見てみると差異はほぼありません。この数字から読み取れるのは、消防設備士の年収は日本では一般的な値だということです。

②消防設備士の年収|首都圏

次にご紹介するのは俗に首都圏、一都三県と呼ばれる、東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県の年収です。結果は以下のようになりました。

平均年収年収中央値
首都圏全体440万5千円430万6千円
東京都487万5千円487万5千円
神奈川県416万2千円422万5千円
埼玉県446万2千円438万8千円
千葉県412万円378万8千円

首都圏は日本の中でも人口がとりわけ多く、建物の数が他の地域に比べ圧倒的に多い地域。建物の数が多いということは、消防設備士の需要が高く、全国の平均年収・中央値よりも数値が高くなる傾向にあります。

加えて業界大手の企業が東京に本社を構えていることなどから、東京都は47都道府県の中でも一番年収が高く、平均・中央値ともに487万5千円という結果に。東京都以外の地域も平均年収に関して言えば400万円を超えており、後述する他の地域よりも高いことが特徴です。

③消防設備士の年収|関西圏

西日本の主要地域である関西エリアからは大阪府、京都府、兵庫県をピックアップしました。年収はどれくらいなのか、確認してみましょう。

平均年収年収中央値
関西圏全体401万6千円375万円
大阪府425万6千円450万円
京都府393万円360万円
兵庫県386万2千円375万円

大阪府は東京に次いで数値が高く、平均年収425万6千円年収中央値450万円という結果に。理由としては人口の多さと支社の存在が挙げられます。東京に本社を構える企業は大阪に支社を持っていることが多く、東京と同じ価格帯での求人が目立ちました。

首都圏では東京に隣接している県も平均年収が400万円を超えていましたが、関西圏では大阪のみ。やはり人口数、建物の数と年収は比例しているようです。

④消防設備士の年収|主要都市

最後に首都圏・関西圏以外の、主要都市のある道県の平均年収と中央値を見てみましょう。

平均年収年収中央値
主要都市のある道県全体356万6千円345万円
札幌市(北海道)332万4千円328万1千円
仙台市(宮城県)377万6千円357万6千円
名古屋市(愛知県)354万円367万5千円
広島市(広島県)357万8千円322万6千円
福岡市・北九州市(福岡県)361万4千円345万円

前述の2地域よりも年収は下がった印象を受けます。前述の通り、消防設備士の仕事は建物数に比例することが多いため、建物数が多い首都圏や関西圏に比べると下がってしまうのもしょうがないことなのでしょうか。

平均年収に関する総括

ポイント

さて、会社員消防設備士の平均年収をご紹介しましたが、いかがでしょうか。今回ご紹介した平均年収より多く貰っている方、少ない方様々いらっしゃることでしょう。

今回の調査で、東京や大阪など、人口の多い都市はやはり年収も高い傾向にあることが判明しました。人口が多いということは建物が多く、建物が多いということは、消防設備士の仕事が多くあるということ。仕事がある地域には会社が多く存在します。そのため競合するには、年収で差別化を図る会社も多くなるのでしょうね。

年収は働く上で大切なファクターですから、少しでも上げたいものです。そこでここからは消防設備士が年収を上げる方法についてご紹介します。

消防設備士が年収を上げる方法

消防設備士が年収を上げるには、キャリアアップするにはどのような方法があるのでしょうか。一例を一緒に確認してみましょう。

給与の高い企業への転職

一番シンプルな年収アップの方法は同業他社への転職。同じ業務内容でも会社の規模感や売上によって収入が変動するケースはよくあります。今回の調査においても、同じ地域であっても企業によって年収にばらつきがある印象を受けました。

業界大手の企業は各地域に支店を持っていることが多い上に、給与も地元密着型の企業より高い傾向にあります。年収UPを考えるのであれば、それらの企業への転職も視野に入れておきましょう。

下記のような転職・求人サイトでは、職種、地域、希望する年収などで求人を探せるため、ぜひ一度覗いてみてください。

上位資格を取得する

現在の職場の人間関係が良好で、給与以外の不満点がない方は、上位資格(=甲種)を取得してみるのはいかがでしょうか。もしも保有資格が乙種のみの場合は、甲種を取得することで、年収を上げられるかもしれません。

消防設備業界では、保有資格ごとに資格手当が受け取れる企業も多くあります。中には合格祝いで金一封を出してくれる企業もあるんだとか。ぜひ勤務している会社に手当のことについて聞いてみましょう。

もしも消防設備点検をメインに行う会社だったとしても、甲種を持っている社員が増えることで、消防設備工事の仕事を受注できるようになるかもしれません。会社の売上が上がることで、給与のUPも期待できるのではないでしょうか。

甲種を初めて取得する方には需要の高い消防用設備である「火災報知器」などが扱える甲種4類がおすすめ。ビルメイツでも甲種4類について詳しくまとめた記事があるので、ぜひ参考にしてみてください。

独立し、フリーランスとして働く

収入を大幅に上げたいとお考えの場合、独立しフリーランス消防設備士として働くことも視野に入れてみましょう。フリーランスの場合、仕事量と収入が比例するため、会社員よりもやりがいを見出しやすいかもしれません。

筆者の知り合いのフリーランス消防設備士に話を聞いたところ、月の手取りとして約50万円以上貰っているとのこと。年収にすると約600万円程と、会社員消防設備士よりも年収が高くなることが特徴です。中には年収800万円を超えるフリーランス消防設備士もいるようですよ。

フリーランス消防設備士について知っておくべきこと

消火器

会社員消防設備士に比べ比較的年収は高くなるフリーランスですが、メリットだけではありません。会社員の時に当たり前と感じていた事柄が当たり前ではなくなります。その一例をご紹介します。

収入は「安定」しにくい

前章では、フリーランスは会社員消防設備士よりも稼げるとお伝えしましたが、この章でお伝えしたいのは、「仕事の安定性」について。一般的にフリーランスは収入が安定しにくいと言われています。というのもフリーランスの場合、仕事を受けるも受けないも自分次第。仕事をガツガツ受注して休みなく働くこともできますし、反対に休みを多く取ることも可能。

自分の体が資本になるため、体調を崩したり、仕事ができない状態に陥った際の収入は保証されません

また、フリーランスの多くは企業から仕事を請負うことで報酬を得られます。つまりは仕事の有無は元請け企業の仕事数に比例します。繁忙期はとても忙しく、閑散期には仕事が大幅に少なくなるという事態に陥る可能性も少なくありません。複数社と取引しておくことが大切です。

社会保険の負担

フリーランスの方は、会社員が加入する厚生年金や健康保険などの社会保険は原則加入できません。しかし年金や保険料の納付は国民の義務。そのため国民年金・国民健康保険(国保)へ加入し、自分でお住まいの自治体に納めなくてはなりません。

会社員や公務員が加入する厚生年金は、国民年金に一定の額が上乗せされることで、老後により多く受給できるシステムです。つまり国民年金の支払額が厚生年金よりも高くなることは基本的にはありません

問題は国民健康保険。支払額は約2倍になります。と言うのも、会社員が毎月の給与から天引きされている健康保険料、実は会社が半額負担してくれています。たとえば、毎月6万円分社会保険料として天引きされていた場合、実際に自治体に納めている額は会社負担の6万円と合わせて12万円です。被保険者の保険料は5割負担で済みます。

ところが国民健康保険の場合、保険料は全額自己負担。「国保が高い」と言われる所以はここにあります。ちなみに会社で加入していた健康保険に最長2年まで継続して加入できますが、その場合も保険料は全額自己負担です。

健康保険は高くなる」ことを覚えておきましょう。

労災など、各種保険に加入

会社員は加入が義務付けられている労災保険。業務中に起きた事故や怪我を国が保証してくれる保険です。フリーランスの場合、一般的には加入できないと思われがちですが、消防設備士の場合は建設業の一人親方として認められるため、特別加入できます

加入には条件が設けられており、手続きが必要です。詳しくは厚生労働省が刊行しているこちらの書類をご確認ください。また、業務に伴う事故、損失をカバーするためにも、民間の損害保険などに加入することをおすすめします。労災保険では物損に対応していませんが、損害保険に入ることで、万一の事故の際にも安心です。

確定申告はマスト

社会保険に並び、会社員が毎月の給料から天引きされている各種税金。フリーランスは税金の支払いも全て自分で行わなくてはなりません。いわゆる「確定申告」を毎年する必要があるのです。

確定申告とは、1年間の収入を税務署へ申告し、その収入額から住民税や所得税などの税金を算出するための制度。確定申告のために、日頃よりしっかりと収支を管理しておく必要があるため、面倒に感じる方が多い作業です。

しかし申告をしなかったり、期日までに間に合わなかった場合、遅延税と呼ばれる本来払わなくてもよい税金を納付することに。納税は国民の義務であるため、面倒ですが必ず行いましょう。

もちろん、仕事のために使った経費分は課税の対象にはなりません。経費であることを証明するためにも、また自分で忘れないためにも、必ず領収書を受け取るようにしましょう。確定申告の際に領収書を提出する必要はありませんが、5年〜7年は領収書を保管しておくことが所得税法で義務付けられています。年数は申告の手段に応じて異なります。

  • 白色申告は保管期間5年
  • 青色申告は保管期間7年

※青色申告と白色申告の違いに関しては、こちら(外部サイト)の記事を参考にしてみてください。

ちなみに、私生活と仕事どちらでも使うようなモノを買った/使った料金、例えば携帯電話料金や家賃、電気代(自宅兼オフィスの場合)は、仕事に使った割合を算出することで、一部を経費として計上できます

最近は以下のサービスやアプリが普及していることもあり、確定申告における収支の管理はは従来よりも簡単になりました。

フリーランス消防設備士を目指す方は、ぜひ活用しましょう。

まとめ

消防設備士の年収から消防設備士が年収を上げる方法、さらにはフリーランス消防設備士になるための心得についてご紹介しました。いかがでしたでしょうか。

ぜひご自身の年収と地域の平均年収を比べ、キャリアアップについて考えてみてください。自分と向き合う時間が無駄になることは絶対にありません。

また、フリーランスになることをお考えの方は、ぜひ前章で取り上げたフリーランスの特徴について押さえておいてください。役に立つはずですよ。

また、消防設備士が年収をあげる方法は本記事で挙げた他にも存在します。それは副業

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