非常電源の点検要領③【総合点検:接地抵抗、絶縁抵抗、容量など】

消防用設備

皆さんこんにちわ。

今回は非常電源(蓄電池設備)の点検要領を点検票のその3(3枚目)の部分についてお話させていただきます。

その3では総合点検の部分も入ってきて少し内容が複雑になりますのでよく確認していただければと思います。

また今回も「ナトリウム・硫黄電池」のことを「NAS電池」と表記、「レドックスフロー電池」は「RF電池」と表記させていただきます。

ビルメバナー

接地抵抗

所定の接地抵抗計により接地抵抗を測定し以下を確認します。なお、測定方法は非常電源専用受電設備の点検要領に準じます。

接地抵抗値は下記の表に示す数値であることを確認してください。

なお、共通母線に接続されている場合は、その測定値を記録します。なお、他の法令による点検が実施されている場合は、その測定値とすることができます。

接地抵抗値
接地抵抗の表

絶縁抵抗

  1. 電源を確実に遮断し、更に検電器等で完全に電源が遮断され安全であることを確認してから、充電部と外箱との間の絶縁抵抗を測定する。
  2. 充電装置、逆変換装置等又は直交変換装置の交流側端子と大地間(AとE)及び直流側端子と大地間(DとE)の絶縁抵抗値を低圧電路にあっては500V絶縁抵抗計、高圧電路にあっては1,000V絶縁抵抗計で測定する。なお、この試験は、他の法令に基づく試験と兼ねて行うことができる(下図参照)
  3. 測定方法に関しては、配線の点検要領に準ずること。
  4. 絶縁抵抗測定法は、下図において、配線用遮断器(MCCB1、MCCB2)を遮断し、次の間の絶縁抵抗を測定すること。
    1. 交流側(A)と大地(非充電金属部)(E)との間(AE)
    2. 直流側(D)と大地(非充電金属部)(E)との間(DE)
    3. 交流側(A)と直流側(D)との間(AD)

※測定開始時回路を遮断する場合は負荷側から行い、終了時の投入は電源側から行うこと。

絶縁抵抗計を用いて絶縁抵抗の表に掲げる区分により絶縁抵抗値を測定し、その測定値は表に示す値以上であることを確認します。
なお、他の法令による点検が実施されている場合はその測定値とすることができます。

上記方法にて測定を行い下記の表の指定値以上であることを確認します。

使用電圧による絶縁抵抗
絶縁抵抗の表

容量

鉛蓄電池・アルカリ蓄電池の場合

入力開閉器を開放し、容量点検回路の例図のように模擬負荷を接続し、蓄電池容量確認図に示す電流値で10分間放電したときの蓄電池端子電圧値が蓄電池容量確認図に示す電圧値×セル数以上であることを確認します。(この場合の電解液温度は10℃以上であること。)

蓄電池の種類による容量
蓄電池容量確認図

※点検中に判定基準値まで蓄電池電圧が低下したときは、直ちに放電を停止し、充電を行うこと。

※容量不足と判定されるものは、その原因が蓄電池にあるのか、充電装置にあるのか等総合的に判断する必要があるので製造者又は蓄電池設備整備資格者に整備を依頼する等適切な処置をとること。

リチウムイオン蓄電池の場合

入力開閉器を開放し、容量点検回路の例図のように、模擬負荷を接続し、1.19Cの電流(A)で30分間電したときの蓄電池端子電圧が製造者が指定する組電池あたりの最低許容電圧以上であることを確認します。(C:蓄電池の組電池あたりの定格容量)

NAS電池・RF電池の場合

点検前日まで通常放電を行い、スケジュール変更で通常充電を行わない。点検当日に直流電圧測定を行い非常電源容量について下記の事項を確認します。

放電終了時点の直流電池電圧を測定し、非常容量設定の直流電圧と比較する。
放電終了直流電池電圧≧非常容量設定の直流電池電圧
(非常容量設定は、設計時に非常電源として必要な容量を計算し決定した直流電池電圧をいう。)

切替装置

  1. 常用電源を停電状態にしたときに自動的に非常電源に切り替わり、常用電源を復旧したときに自動的に常用電源に切り替わることを所定の操作により確認します。
  2. 消防用設備等の出力端子に電圧が印加されていることを確認します。
  3. この点検は、容量の点検と同時に行うことが望ましいものであること。

電圧計及び周波数計

直流電圧計、交流電圧計、周波数計を用いて盤面計器の指示値と照合し、差異がないことを確認します。

ただし、NAS電池、RF電池は電力制御を行っていることから周波数計の確認を省略することができる。

警報動作

回路を異常状態にして、外部警報送出を含む警報について警報が正常に作動することを確認します。

減液警報装置(リチウムイオン蓄電池は除く。)

減液警報装置用電極の取り付けてある蓄電池より、電解液を注液スポイトを用いて抜き取り、最低液面線より液面を低下させるか、検出器端子を短絡又は開放して下記の事項について確認します。なお、点検終了後は必ずもとの状態に戻すこと。

  1. 減液警報装置が作動し、音響を発し表示灯が点灯すること。
  2. ベント形すえ置鉛蓄電池は、液面が最低液面線の5mm上から極板上までの間の範囲で警報作動すること。
  3. ベント形アルカリ蓄電池は、液面が最低液面線の15mm上から5mm下までの間の範囲で警報作動すること。
    1. スポイトは、鉛蓄電池用とアルカリ蓄電池用とを区別し、専用のものを使用するこ
      と。また、電解液を抜き取るときは、こぼさないように注意すること。
    2. 通常、減液警報装置の検出器(電極)は、100V用では2個、48V以下用では1個
      取り付けられている。取り付けてあるものすべてを点検すること。
      1. 減液警報装置の方式は、製造者によって違いがあるので、取扱説明書等により確認してから行うこと。
      2. ブザー、ベル等の警報スイッチは、点検終了時には必ず(ON)位置にあること。

液漏れ警報装置(RF電池に限る。)

液漏れ警報装置用電極の取り付けてある蓄電池より電極を短絡させて、液漏れ警報装置が作動し、音響を発し表示灯が点灯することを確認します。(点検終了後は必ずもとの状態に戻すこと。)(※通常、液漏れ警報装置の検出器(電極)は、取り付けてあるものすべてを点検すること。)

  1. 液漏れ警報装置の方式は、製造者によって違いがあるので、取扱説明書等により確認してから行うこと。
  2. ブザー、ベル等の警報スイッチは、点検終了時には必ず(ON)位置にあることを確認すること。

電圧調整範囲

直流電圧計により製造者の指定する範囲であることを確認します。

  1. ※構造上電圧調整を要しないものにあっては点検を省略することができる。
  2. ※直流電圧計は、JIS C 1102(直動式指示電気計器)に規定された精度0.5級以上の計器又はこれと同等以上の精度をもつ計器とすること。

負荷電圧補償装置(NAS電池及びRF電池を除く。)

降下電圧値が適正であることを目視にて確認します。

タイマー(NAS電池及びRF電池を除く。)

設定値及び作動状況が適正であることを目視にて確認します。

まとめ

最後までご覧いただきありがとうございます。

今回は非常電源(蓄電池設備)の点検要領のその3(3枚目)のお話をさせていただきました。

総合点検の部分は、いつも通りに接地抵抗から絶縁抵抗から始まり、容量・切替装置という流れになります。

また、接地抵抗や絶縁抵抗に関しては他の法令などにより点検が実施されている場合にはその測定値をとすることができるとなっていますので確認しましょう。

各点検項目に「~に限る」とか「~を除く」という文言が入ってるものがありますので注意しましょう。鉛蓄電池の点検なのに、「RF電池に限る」の項目に〇が入っていることがあったりします。

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