皆さんこんにちは。
今回は誘導灯(誘導標識)の設置基準について詳しく解説していますのでぜひご覧ください。
誘導灯及び誘導標識の設置基準
設置時(設計時)の注意点
誘導灯及び誘導標識の設置基準は下記の様に2種類あります。
- 「防火対象物の用途・面積によるもの」
- 「歩行距離によるもの」
1.の「防火対象物の用途・面積によるもの」では、誘導灯を設置するのに必要な床面積を基準にして誘導灯の種類を選定できます。
2.の「歩行距離によるもの」では、防火対象物に誘導灯を設置する際に誘導灯の設置を免除できる部分があり、それをこの基準に則って誘導灯の設置の有無を選定できます。
上記の2つの設置基準を用いて誘導灯の設計と設置を行っていきます。
設置基準「防火対象物の用途・面積によるもの」
文章では説明しにくいので設置基準を図にしましたので下図を参照してください。
下図内、令別表第1の●は特定防火対象物を表します。
設置基準「歩行距離によるもの」
こちらも文章では説明しにくいので図を作成しましたので下図を参照してください。
下図内、令別表第1の●は特定防火対象物を表します。
誘導灯の有効範囲
避難口誘導灯および通路誘導灯の有効範囲は、原則当該誘導灯までの歩行距離が以下のⅠ又はⅡに定める距離以下の範囲ですが、通常はⅠの方を使用します。
Ⅰの場合
避難口誘導灯 A級
- 避難の方向を示すシンボルのないもの・・・60m
- 避難の方向を示すシンボルのあるもの・・・40m
避難口誘導灯 B級
- 避難の方向を示すシンボルのないもの・・・30m
- 避難の方向を示すシンボルのあるもの・・・20m
避難口誘導灯 C級
15m
通路誘導灯
- A級・・・20m
- B級・・・15m
- C級・・・10m
Ⅱの場合
歩行距離=誘導灯表示面の縦寸法(m)×下記Kの値
避難口誘導灯
- 避難の方向を示すシンボルのないもの・・・K=150
- 避難の方向を示すシンボルのあるもの・・・K=100
通路誘導灯
K=50
算定例
- 区分:避難口誘導灯B級(方向のシンボルなし)表示面縦寸法0.3m
歩行距離=150×0.3→45m - 区分:避難口誘導灯B級(方向のシンボルあり)表示面縦寸法0.3m
歩行距離=100×0.3→30m - 区分:通路誘導灯B級 表示面縦寸法0.3m
歩行距離=50×0.3→15m
避難口誘導灯及び通路誘導灯の設置箇所
次に誘導灯の設置箇所について解説します。
避難口誘導灯の設置箇所
- 屋内から直接地上へ通ずる出入口(附室が設けられている場合にあっては、当該附室の出入口)
- 直通階段の出入口(附室が設けられている場合にあっては、当該附室の出入口)
- 上記1、2に掲げる避難口に通ずる廊下又は通路に通ずる出入口。ただし以下の要件に適合する居室の出入口を除く
A、室内の各部分から当該居室の出入口を容易に見通し、かつ、識別することができること。
B、当該居室の床面積は100㎡(主として防火対象物の関係者及従業員等の使用に供される場合にあっては400㎡)以下であること。 - 上記1、2に掲げる避難口に通ずる廊下又は通路に設ける防火戸で直接手で開くことができるもの。(くぐり戸付きの防火シャッターを含むがある場所。)
ただし自火報の感知器と連動して閉鎖する防火戸に誘導標識が設けられ、かつ、当該誘導標識を識別することができる照度が確保されるように非常用の照明装置が設けられている場合を除く。
通路誘導灯の設置箇所
- 曲がり角
- 上記避難口誘導灯1、2に掲げる避難口に設置される避難口誘導灯の有効範囲内の箇所
- 上記1,2のほか、廊下又は通路の各部分(避難口誘導灯の有効範囲内の部分を除く)を通路誘導灯の有効範囲内に包含するために必要な箇所
誘導灯設置における注意点
- 通行の障害とならないように設けること。
- 避難口誘導灯は、避難口の上部や同一壁面上の近接した箇所のほか、避難口前方の近接した箇所など、避難口の位置を明示することができる箇所に設置する。
- 室内から直接地上へ通ずる出入口又は直通階段の出入口に附室が設けられている場合にあっては、避難口誘導灯は当該附室の出入口に設ければよく、近接した位置に二重に設ける必要はない。
- 直通階段(屋内に設けるものに限る)から避難階の存する廊下又は通路に通ずる出入口には、避難口誘導灯を設けることが望ましい。
- 消防法施行規則28の2-1(通路誘導灯を要しない規定)の規定に適合しない防火対象物又はその部分にあっても、廊下又は通路の各部分が避難口誘導灯の有効範囲内に包含される場合にあっては、通路誘導灯の設置は特段要しない。
点滅機能又は音声誘導機能
点滅機能又は音声誘導機能を有する誘導灯を設置することが望ましい防火対象物又はその部分は以下の通りです。
- 令別表第1の6項ロ、ハ及びニに掲げる防火対象物のうち視力又は聴力の弱い者が出入りするもので、これらの者の避難経路となる部分。
- 百貨店、旅館、病院、地下街その他不特定た数の者が出入りする防火対象物で雑踏、照明、看板等により誘導灯の視認性が低下するおそれがある部分。
- その他これらの機能により積極的に避難誘導する必要性が高い部分。
- ※消防法施行規則28の3-4-3の適合要件(点滅機能等を有する避難口誘導灯を設置しなければならない部分)となっている場合を除き、点滅機能又は音声誘導機能の付加は任意である。
また誘導灯の点滅機能又は音声誘導機能には下記の留意点があります。
- 次に掲げる避難口に設置する避難口誘導灯以外の誘導灯に設けてはならない。
ア、屋内から直接地上へ通ずる出入口(附室が設けられている場合にあっては、当該附室の出入口)。
イ、直通階段の出入口(附室が設けられている場合にあっては、当該附室の出入口) - 自動火災報知設備の感知器の作動と連動して起動すること。
- 避難口から避難方向に設けられている専用の感知器が作動したときは、当該避難口に設けられた誘導灯の点滅及び音声誘導が停止すること。
- 音声警報機能付きの非常放送設備と併せて使用する際の誘導音装置付誘導灯の音圧レベルは、当該装置の中心から1m離れた位置で70dBに調整されていること。
通路誘導灯の設置高さ
令別表第1の2項ニに掲げる防火対象物及び、16項、16の2項、16の3項に掲げる防火対象物の2項ニ部分の用途の供される部分に設ける通路誘導灯(階段及び傾斜路を除く)にあっては、廊下及び通路の床面又はその直近(目安として床面から高さ1m以下)の避難上有効な箇所に設けられていること。ただし、平成11年消防庁告示2号により蓄光式誘導標識が設けられている場合にあってはこの限りではない。
客席誘導灯の設置について
客席の通路の床面で、照度が0.2ルクス以上となるように設ける。(客席における照度は、客席内通路の床面における水平面について測る)
- 客席内通路が階段状になっている部分にあっては、客席内通路の中心線上において、当該通路部分の全長にわたり照明できるものとし、かつ、その照度は当該通路の中心線上で測定し水平面照度で0.2ルクス以上であること。
- 客席内通路が傾斜路又は水平路となっている部分にあっては、下記の式により算出した設置個数を、おおむね等間隔となるように設置し、かつ、その照度は誘導灯に最も近い通路の中心線上で測定し水平面照度で0.2ルクス以上となること。
式 設置個数≧客席内通路の直線部分の長さ(m)/4 – 1
誘導灯の消灯
通常は誘導灯(避難口及び通路)は常時点灯なので基本的に消灯はできません。しかし、自火報の感知器の作動と連動して点灯し、かつ、利用形態に応じて点灯するように措置されているときは、消灯することができます(所轄消防による)。
- 当該防火対象物が無人である場合
ちなみに「無人」とは、休業、休日、夜間等において定期的に人が存しない状態が繰り返し継続されていることで、防災センター要員、警備員等によって管理を行っている場合も「無人」とすることができる。 - 「外光により避難口又は避難の方向が識別できる場所」に設置する場合
この「外光」とは自然光のことであり、採光のための十分な開口部が存することが前提になります。消灯対象となるのは外光により避難口等を識別できる間に限られます。 - 「利用形態により特に暗さが必要である部分」に設置する場合
この場合、劇場舞台部や映画館・プラネタリウムなどは暗さが必要なので、自火報と連動させることにより消灯させることができる。 - 「主として当該防火対象物の関係者及び関係者に雇用されている者の使用に供されている場所」に設置する場合
この「関係者及び関係者に雇用されている者」とは、当該防火対象物の構造(特に避難経路)について熟知しているものであり、通常出入りしていないなど内部の状態に疎い者は含まれないこと。
※またこの規定は政令別表第1の5項ロ、7項、8項、9項ロ、10~15項までに掲げる防火対象物(非特定防火対象物)の用途に供される部分に限る。 - 階段、傾斜路に設ける通路誘導灯についても、上記1、2に掲げる場合にあっては、これらの例により消灯することができる。
あとがき
最後までご覧頂きありがとうございます。
今回は誘導灯(誘導標識)の設置基準について解説させていただきました。
設置基準なので事細かな解説になりましたが、一般的な防火対象物(客席非該当、2項や6項以外)であればそんなに該当する項目もありませんので難しくはないかと思います。
基本的には防火対象物やその用途の床面積により設置するべき誘導灯を確認して、当該部分の歩行距離における距離によって用いる器具(A級やB級など)を選定して避難口を基準に各誘導灯を設置していく流れになると思います。