熱感知器の設置基準|感知器の感知区域、個数算定、分布型感知器についてもくわしく解説!

消防用設備

皆さんこんにちは。

今回は感知区域の説明感知器の個数算定熱感知器(スポット・分布)の設置基準についてご説明します。

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感知区域とは

感知区域とは、感知器により火災の発生を有効に感知できる区域を指し、壁又は取付面から0.4m(差動式分布型感知器・煙感知器は0.6m)以上突き出した梁などによって区画された部分のことを言います。(下図参照)

上図は感知器の取り付け面を天井面として、部屋の構造によって感知区域がどのように定められるかを示した図です。

上図の(1)は、天井面から突き出した梁などがないので、1つの感知区域としてみなすことができます。

(2)は、天井面から床面まで新設の間仕切りがあり、天井面から突き出した梁など(0.4m以上、煙感知器や差動式分布型は0.6m)に該当しますので、感知区域は2つに分かれます。

(3)は、天井面から梁(防煙タレ壁(固定式)など含む)が突き出していて、この長さが0.4m以上(差動式分布型や煙感知器の場合は0.6m以上)になると図のように別々の感知区域になってしまいます。

(4)は、床面より壁(衝立など)が天井面に向かって立っていますが、当該壁と天井面に空間がある場合には天井面から突き出した梁などには該当しないので1つの感知区域としてみなすことができます。

(4)の天井面から壁(衝立など)までの距離については何m以上といった法令はありません。しかし熱感知器の場合の取付位置が取付面から0.3m以内ということを考慮すると、少なくても0.3m以上は空けておくべきです。

天井面から壁(衝立など)までの空間の距離は、所轄消防の担当者や火災予防条例などのより規定が異なる場合があります。間仕切りなどを新設する場合には事前に所轄消防への相談へ行くことをおすすめします。

感知器の個数の算定方法

感知器は各感知区域ごとに感知器の種別や取付面の高さに応じて下表で定める床面積を感知面積とします。感知器の必要個数は、設置したい感知器の感知面積につき下式により算定して、火災を有効に感知できるように設けなければなりません。

※多信号感知器は、その有する種別に応じて定める床面積のうち最も大きい面積を感知面積とします。


必要個数 = 感知区域の面積(㎡) ÷ 設置したい感知器1個の感知面積(㎡)

ここで例を挙げて感知器の必要個数の計算方法を紹介します。

熱感知器の必要個数の計算方法(例1)

例えば、床面積94㎡の居室(取付面の高さは4m未満)(その他構造)に差動式スポット型感知器の2種を設置したい場合は、

必要個数 = 94㎡ ÷ 40㎡ → 2.35(小数点以下を切り上げて整数にする)≒ 3

なので、この居室には差動式スポット型感知器が3個必要になります。

熱感知器の必要個数の計算方法(例2)

他にも、床面積130㎡の居室(取付面の高さは4m未満)(その他構造)に定温式スポット型感知器の1種を設置したい場合は、

必要個数 = 130㎡ ÷ 30㎡ → 4.33 ≒ 5

なので、この居室には定温式スポット型感知器(1種)は5個必要になります。

ちなみに防水型や防爆型であっても感知器の感知面積は一般型と変わりませんので間違えないようにしましょう。

スポット型熱感知器の設置基準

それでは実際に熱感知器を設けるにあたりどのように設置すれば良いかの基準について、熱感知器の種類ごとに説明していきます。

スポット型の熱感知器には、差動スポット・定温スポット・補償スポット・熱複合スポットがあり、それらの設置位置や基準を以下で説明します。

取付位置

(1)感知器の下端は、取付面の下方0.3m以内の位置に設置する。(下図 図1参照)

(2)換気口・エアコン・ファンコイルなどの吹出し口がある場合には、吹出し口から1.5m以上離れた位置に設置する。(下図 図2参照)

(3)感知器は45°以上傾斜させないように設置する。

45°以上の傾斜面に取付ける場合は下図のように座板などを用いて傾斜しないように設置する。(下図 図3参照)

(4)火災を有効に感知できるように、感知区域内の平均した位置に感知器を設ける(下図 図4参照)

試験器の位置

差動式スポット型感知器を電気室高圧配線上部や、空調設備のダクト裏など点検が容易に行えない場所に設置する場合は、差動スポット試験器を設けます。

差動スポット試験器の設置基準は以下の通りです。

  1. 試験器は試験が容易に行える場所で、床面より0.8m~1.5mの高さに設ける。
  2. 試験器スイッチボックスを用いて露出、又は埋込工事で設置する。
  3. 感知器と試験器を接続する空気管は指定された長さ以内で接続する。

差動式分布型感知器の設置基準

空気管式のもの

露出長(小感知区域の場合)

空気管の露出部は、1つの感知区域ごとに20m以上とする。
空気管の露出部が小部屋・押入れ・小区画などで20mに満たない場合は、コイル巻き二重巻きなどにより20m以上露出させる。(下図 図5参照)

接続長

空気管の接続長全長は、一の検出部につき100m以下とする。
この場合は検出部まで接続する空気管の長さも全長に含まれる。

取付位置

  • 空気管は、取付面の下方0.3m以内の位置に設置し、かつ、感知区域の取付面の各辺から1.5m以内の位置に設ける。(下図 図6参照)
  • 検出部は点検が容易な場所、通行に支障とならない位置に、5°以上傾斜させないようにしっかりと取り付ける。

空気管の相互距離

(a)原則

相対する空気管の相互距離は、主要構造部を耐火構造とした防火対象物では9m以下その他構造の場合は6m以下となるように設置します。(下図 図7参照)

(b)例外

感知区域の規模・形状により有効に火災を感知できると認められる場合は、下図のような設置方法を用いることができます。

熱電対式のもの

最低接続個数・最大接続個数

熱電対部の最低接続個数は1つの感知区域ごとに4個以上で、最大接続個数は1つの検出部につき20個以下とする。

感知面積

熱電対部は、感知区域ごとにその床面積が72㎡(耐火構造は88㎡)以下の場合は4個以上設け、72㎡(耐火構造は88㎡)を超える場合は、熱電対部4個に18㎡(耐火構造は22㎡)までを増すごとに1個を加えた個数を設置する。(最大感知面積は18㎡×20=360㎡ 耐火構造なら440㎡)

例えば感知区域(耐火構造以外)が110㎡だとして、熱電対で警戒しようとした場合に

110 ÷ 18 = 6.11 ≒ 7

なので7個の熱電対部を設ければ足りることになります。

取付位置

  1. 熱電対部は取付面の下方0.3m以内に設置する。
  2. 検出部は点検しやすく、かつ、通行に支障のない位置に、5°以上傾けないようにしっかりと取り付ける。

極性及び最大合成抵抗

  1. 熱電対部には極性があるので熱電対部及び検出部への接続は極性を確認して起電力が蓄積されるように直列に接続しなければなりません。
  2. 熱電対部と接続電線の最大合成抵抗は、検出部に指定された値以下でなければなりません。ちなみに某メーカー製の検出部の指定合成抵抗は9Ωになっています。
差動式分布型感知器の熱電対部の設置例
熱電対部の設置例

熱半導体式のもの

最低接続個数及び最大接続個数

感熱部の最低接続個数は、一感知区域ごとに2個(取付面の高さが8m未満の場合は1個)以上とする。

また、感熱部の最大接続個数は、一の検出部につき15個以下とする。

取付位置

  1. 感熱部は取付面の下方0.3m以内に設置する。
  2. 検出部は点検しやすく、かつ、通行に支障のない位置に、5°以上傾けないようにしっかりと取り付ける。

最大合成抵抗

感熱部と接続電線との最大合成抵抗は、検出部に指定されている数値以下とする。

定温式感知線型感知器の設置基準

取付位置

感知器は、取付面の下方0.3m以内の位置に設ける。

取付間隔

感知器は、感知区域ごとに取付面の各部からいずれかの部分までの水平距離が下図に示す距離Rの数値以下となるように設置する。

感知線の接続

感知線の全長は指定された抵抗値以内とし、感知線の作動後は再利用が出来ないことを考慮して、1室ごとに電線との接続箇所を端子などで接続しておき、後の交換が容易に出来るようにしておくこと。

まとめ

最後までご覧いただきありがとうございます。

今回は感知区域、感知器の個数算定、各種感知器の設置基準を説明してきました。

熱感知器の算定表を見ると頭がこんがらがってくるので、差動スポットは一般的に2種を、定温式は特種を使用するのでその面積を覚えれば楽です。差動スポット2種と定温スポット特種の算定面積は同じなので、耐火構造なら4m未満→70㎡、8m未満→35㎡と覚え、その他構造なら4m未満→40㎡、8m未満→25㎡と覚えましょう。

また熱感知器の設置位置も取付面から下方30cm以内に設置というのは覚えておきましょう。既設の空気管や熱電対の点検で感熱部がたるんで取付面の下方30cmを超えている場合は不良になりますので、検出部だけ点検してOKにしないで、感熱部(感知線)も目視で確認してたるんでいないか確認しましょう。メッセンジャーワイヤーの固定部が破断して感熱部がたるんでいるのはよくあります。

P型受信機でも煙感知器に自動試験機能を付加させた感知器を使用して煙感度試験をしなくても良いシステム(通称PA感知器)があったり、煙感知器を遠隔で試験(作動試験とか煙感度試験)できるものもあるので、自火報の設計を行う機会がありましたらこれらのシステムもあるので一考されてはいかがでしょうか。

▼合わせて「煙感知器・炎感知機の設置基準」もご覧ください▼

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